このサイバースペースで人々は、新聞や本を読み、ショッピングをする。
サイバースペースの住人は、たとえ、新聞が配達されない山奥にいようとも電話線とパソコンとモデムさえあれば、最新の情報を取り入れることも、逆に情報を発信することもできる。
さて、このパソコン通信ネットワーク。
このところ、急激に成長している。
ニフティサーブのように一月当たり二万六〇〇〇人もの新会員を迎えているパソコン通信ネットもある。
このネットだけでなく、多くの商用ネットが順調に会員を増やしており、これがパソコン通信ネットワーク全体の伸びを支えている。
インターネットとの関連でいえば、多くのパソコン通信がインターネットとの接続を積極的に推し進め、九四年中に主要パソコン通信ネットで、インターネットの主な機能を使えるようになった。
しかも、各ネットで、インターネットを使いやすいものにする工夫をしている。
個人がインターネットを使うには、コスト面も、サービスの内容からも、パソコン通信ネット経由で使う方が、格段に使いやすいのが現状である。
パソコン通信ネットを運営する各社をまわってみると、九四年のインターネットブームが、パソコン通信にとっても追い風になっていることがわかる。
各ネットとも、インターネットをテーマにした電子会議を開いているが、どこでも盛況とのごとだ。
インターネットからの電子メールの数も増えている。
ニフティサーブとインターネットの間の電子メールのやりとりは、月に約七〇万通もあるそうだ。
このネットワークを運営するn社の取締役で企画部長のy氏は、「パソコン通信は、ますますインターネットへの入口として使われるだろう」と指摘する。
A社の営業部長であるI氏も「インターネットの玄関になろうとしている」と述べている。
今後の日本でのインターネットの普及の鍵はパソコン通信ネットが握っているようだ。
クラッカーという侵入者とセキュリティの問題インターネットは.いいことづくめなのだろうか。
なにか問題はないのだろうか。
もちろん、たくさんの解決しなくてはならない課題がある。
そのなかの一つが、ネットワークの安全の問題。
読者の皆さんは、ハッカーという言葉を耳にしたことがあるのではないだろうか。
新聞の社会面などで見かけることが多くなってきた。
もともとは、コンピュータのプログラムづくりに熱中する人々のことで、悪い意味はなかったようだ。
しかし、このようなハッカーのなかに、自分の腕を試そうと、ネットワーク上でいたずらをする者が出てきた。
そのため、ネットワークへの侵入者やプログラムの破壊者のことをハッカーと呼ぶようになった。
善良なハッカーと区別するために、このような侵入者や破壊者のことを隙をついてやってくる人という意味でクラッカーと呼んだり、侵入者の意味でインドルーターと称したインターネットの関所「ファイヤーウォール」りする。
このクラッカーたちの手口のなかで、最も悪質なのは、コンピュータウィルスである。
プログラムにいたずらしたり、他のプログラムを破壊したりしてしまうプログラムをコンピュータウィルス、または単にウィルスという。
これには、ある時が来ると、たわいもないメッセージを表示するものから、コンピュータにあるデータをすべて破壊してしまうものまで、さまざまなものがある。
このウィルスに対抗するワクチンと呼ばれるプログラムもある。
これは、コンピュータの中をチェックして、ウィルスを発見するとそれを駆除するというものである。
しかし、これとて万全とはいえない。
新種のウィルスが次々に生れてくるからだ。
コンピュータやネットワークにウィルスを入れないためには、出所のわからないプログラムを使わないことだ。
市販のものや、ウィルスのチェックをしたうえで、プログラムを公開している信頼できるパソコン通信ネットワークで入手すれば、まず間違いないだろう。
このほかにクラッカーの手口として、パスワードの盗用というのがある。
九四年、日本のあるパソコン通信の大手商用ネットワークでも起こっていたことがわかった。
誕生日や電話番号など、他人が簡単に知ることのできる数字をパスワードとして使うことが多かったので、これらの情報からパスワードを類推し、何回か試みることにより、本当のパスワードを知るというやり方から、ホストコンピュータにあるパスワードのファイルを盗み見るというものまで、さまざまな手口がある。
パスワードを盗むと、クラッ力ーは本人になりすまし、ショッピングをしたりオンラインーデータベースを使用したりして、本人に損害を与える。
そればかりでなく、パスワードを盗用された本人の知らぬ間に他のネットワークに侵入し、さまざまないたずらを仕掛けてくる。
このようなことをされないためには、他人が簡単に類推できるようなパスワードは使わないことである。
また、頻繁にパスワードを変更することも大切だ。
インターネットは、ネットワークのネットワークであるが、ネットワークがつながるということは、このようなクラッカーが、動き回る道ができることでもある。
高速自動車道ができたために犯罪が広域化したのに似ている。
ネットワークをつないでも、侵入されないようにするにはどうしたらよいのだろうか。
それには、ネットワークの入口に関所を設ければよい。
高速自動車道の料金所のようなものだ。
これをファイヤーウォールと称する。
ネットワークとネットワークを直接結ばずに、ファイヤーウォールという名のコンピュータを介して接続する。
このファイヤーウォールは、自分のネットワークに入ろうとする者が不審者でないかどうかをチェックする。
このように自分のネットワークを守る体制ができていないところでは、外部への接続を控えたり、制限したりしている。
このほか、インターネットで情報を伝えるときに心配なのが、途中で情報をのぞき見されたり、改ざんされないかということ。
インターネット上のデータは、いくつものネットワークを経由するので、途中にクラッカーが待ち受けていないとも限らない。
これを防ぐためにデータの暗号化という技術が開発ざれている。
時間、お金……、そのメリットは計り知れない ここで少し実利的な話をしよう。
インターネットがないとすると、海外の支店への通信料はどのくらいかかるのだろう。
国際電話や国際ファックスで連絡すれば、相当な費用がかかる。
経済のグローバル化を反映して、年々、国際電話の通話量は増加の一途をたどっている。
九四年版の通信白書によると、八九年(平成元)の国際電話の発信回数が一億六六八〇万回だったのに対し、九二年(平成四)の発信回数は、二億六七七〇万回に急増している。
総通話時間も二一億八三〇〇万時間にのぼり、国際電話にかかる費用はますます増大している。
文書での連絡は、ビジネスのなかで重要な位置を占める。
インターネットの電子メールを使えば、これを格安で送ることができる。
社外秘の文書をインターネットの電子メールにするにはやや不安が残るが、重要な文書は平文で送らずに、暗号化して送ることでこの不安も解消できる。
平文を自動的に暗号化したうえで発信し、受信者は、に平文にされたものを読むことができる仕組みまで開発されているので、意識することなく、文書を送ることができる。
これまた自動的暗号化の手順を 海外に出ることが日常的になった現在、海外出張先からインターネットを使って留守家族に連絡することもできるようになった。
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